都心を中心に急成長する自動搬送式納骨堂。
自動搬送式納骨堂は、私たち消費者にとってのノアの箱舟なのでしょうか?
また、寺院経営にとってのノアの箱舟なのでしょうか?
自動搬送式納骨堂を少しだけ違った角度から見てみましょう。
目次
自動搬送式だけじゃない、室内の納骨堂の形はさまざま
室内のお墓といっても様々なスタイルがありますが、大きく分けて、2つのタイプがあります。
①骨壺の状態で納骨するタイプ
②骨壺から出して合祀墓に合葬するタイプ
①のタイプでも、用途によって以下のような区分けができます。
a.期間を定める契約で、更新契約をするタイプ(一人だけ、または夫婦のみのお墓としての用途)
b.期間の定めなく、永代に渡り使用できるタイプ(家族のお墓としての用途)
現在の主流は後者b.の家族のお墓として利用できるいわゆる
「自動搬送式」と言われている納骨堂です。
ここでは、自動搬送式の納骨堂について触れます。
自動搬送式とは、複数の参拝ブースが並んでいて、参拝カードなどを
参拝ブースのカードリーダーにかざすと、遺骨の入っている箱が自動搬送システムによって
該当の参拝ブースに運ばれてきて、遺骨を目の前にしてお参りができる仕組みです。
例え話として、立体駐車場とか、銀行の貸金庫という人もいますね。
ほとんどが、大きな建物に数千単位の顧客を集めるという規模です。
寺院も将来に備えて新しい自動搬送式納骨堂ビジネスに乗り出す時代
都心の交通の便がいい寺院には、納骨堂建設のチャンスがあります。
納骨堂販売に長けた企業が、寺院に納骨堂建設を持ち掛けます。
昨今は檀家離れも進んでいるため、立地条件がいい場所の寺院は、
自動搬送式納骨堂の運営による永続的な安定経営を求めて、納骨堂の運営に舵を切ります。
かなりの建設費がかかることは私たち素人でもわかりますよね。
都心の一等地の寺院墓地は通常300~500万円はかかると言われていますが、
納骨堂は100万円前後の価格帯で値ごろ感があります。
もともとは寺院ではないけれど、立地の良さなどの理由で、納骨堂を建設することもあります。
自動搬送式納骨堂は誰かのお墓の跡地ではないというクリーンなイメージがある
都心では新たな墓地開発は皆無です。
よって、墓地の公募の際には、どこかの誰かがお墓の引越をして更地にした区画ということになります。
知らない誰かの骨があった場所ってことなのですが、これを気にするかしないかは、
それぞれの考えですが、自動搬送式納骨堂の場合は、誰かのあと地を使うわけではないので、
そういう心配はありません。
どの自動搬送式納骨堂も大差ないという悩みは、販売会社の抱える大問題なのです
現在東京都内では、ビジネスホテル並みに自動搬送式納骨堂の乱立状態にあります。
オリンピックではなく、団塊の世代の需要を見込んだ建設投資の結果ですが、
思うような爆発的な販売に結びついないようですね。
早くもコモディティ化が進みつつある状況ですが、
まだまだ潜在需要は確実にあると見込まれています。
しかしながら、どこの納骨堂も大した違いがなく、決め手に欠ける状況を何とかか打破したいと
考えているのはどの販売会社も同じですが、なかなか難しいようです。
交通の便がいいだけでなく、何かほかの画期的なアピールポイントを見出した
自動搬送式納骨堂が、頭一つ抜け出すことになると思います。
自動搬送式納骨堂選びの極意とは?
どれも都心の便利な場所にあり、機能や設備に大差ありませんが、
ただ、家から近くて値ごろ感があるというだけの理由で選ぶのは早計です。
お葬式や法事などの使い勝手や、維持管理費の金額の妥当性や、経営の安定性などはとりわけ重要です。
また、何といっても寺院の住職とは長いお付き合いになるので、お話をしておくことも必要かと思います。
すべてのセレモニーをお願いする、住職をはじめとする寺院サイドとの相性みたいなものも
大切な要素だと思います。
お墓購入から3代に渡りお墓を使用するなら、だいたい100年は使用することになるので、
慎重に選ぶべきです。
まとめ
自動搬送式納骨堂は、機能面ではどこも大差ないというのが実情です。
比較しながら、値段の差があるとしたら、どんな必然性があるのか?
質問してみましょう。
そして、100年後にも存在できる経営基盤があるかどうか?
あまり売れていない納骨堂は維持管理や建設費の返済が難しくなるとういうのは世の常ですし。
また、入館時の雰囲気とか、照明の感じとか、感覚的な良し悪しなのどの、感性的な部分も
選択のひとつになるのではないでしょうか?
(葬祭の窓口ライター)
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